4月に化学・ガス系の商社に転職するまで、食品メーカーの品質管理部門で5年間、主に書類作成と分析対応を担当していました。これは私がDXにであった時のお話です。
品質管理の私がDX担当に任命された日
「まさか、この私が…?」
4月に化学・ガス系の商社に転職するまで、食品メーカーの品質管理部門で5年間、主に書類作成と分析対応を担当していました。5年目のときに、突如として「今日からDX担当ね」という辞令が下ったのです。
当時の私は、「DX」という言葉に対して、ぼんやりとしたイメージしか持っていませんでした。「なんとなくITっぽいこと?」「AIとか使うのかな?」…スプレッドシートは既に使っているし、手書きの書類もない。一体、これから何をすればいいのだろう?正直、頭の中は「?」マークでいっぱいでした。
それは、いつものように書類作成をしていた時のことでした。上司が私の席にきて「あなたこの部署のDX担当になったからよろしくね」と一言。率直な第一印象は、「ほんとうに!?」という驚きと、「ムリムリ」 という不安でした。
品質管理の仕事は一通り経験してきた自負はありましたが、会社の全ての部署の業務を隅々まで理解しているわけではありません。そんな私が、一体何から手を付けてDXを推進していけばいいのでしょうか。途方に暮れる、という言葉がまさに当てはまる心境でした。
なぜ、私がDX担当に選ばれたのか。心当たりのあることといえば…少しでも早く帰宅したくて、日々の業務の効率化と無駄を省くためのルール整備に地道に取り組んでいたことでしょうか。まさか、その小さな努力が、こんな展開につながるとは夢にも思いませんでした。
「期待に応えたい!」未経験ながらDX担当を任された責任感と知識ゼロへの焦燥
品質部門から全くの畑違いであるDX推進という重要な役割を任されたことに対し、素直に喜びを感じました。これは、入社して5年が経ち、新しい経験を通して、品質部門の枠を超えて大きく成長できるチャンスだと感じたからです。
しかし、その喜びも束の間。「本当に自分にできるのだろうか?」「知識が全くないのに、どうすればいいんだ?」という不安が、押し寄せてきました。
全社的な目標として掲げられた「生産性40%以上の向上」。その壮大な目標を前に、今の自分の知識やスキルで、一体何ができるのだろうかというプレッシャーに押しつぶされそうになる日々でした。
生成AIで日々の話し相手として使用した経験はありましたが、それはあくまでツールを使ったレベル。根本的なIT知識がないことへの焦りは募るばかりでした。「生成AIでどんなことができるんだろう?画像生成とか聞いたことがあるな…」そんなレベルからのスタートだったのです。
まずは「やってみる」!途方に暮れた私が見つけた小さな光
私が最初にしたことは、とにかく「やってみる」ことでした。試しに、分からないことを生成AIに思った通りに質問してみたのです。すると、驚くほど様々な情報を教えてくれました。その中から気になるキーワードをさらに深掘りしていく。まるで、暗闇の中で小さな光を見つけ、それを頼りに進んでいくような感覚でした。
情報収集の過程で、専門用語の壁にぶつかることもありました。しかし、生成AIはそんな私の質問にも、答えてくれました。情報の量に溺れそうになりながらも、「もしかしたら、自分にもできるかもしれない」と感じる小さな発見が、私にとって大きな希望の光となりました。
そして、最初の一歩として取り組んだのが、自部署の業務の徹底的な棚卸しです。全ての業務、頻度、使っているツール、効率化できそうかどうか、現在かかっている時間、担当している人数などを洗い出しました。そのリストを眺めているうちに、ツールを跨いでいない、自部署だけで完結している作業ならば、比較的簡単に効率化に取り組めるのではないかという考えに至ったのです。
若手の応援、他部署の助言…周囲の支えが
私がDX担当に選ばれたことに対し、若手が多い部署の同僚たちは、驚きながらも声援を送ってくれました。「頑張ってください!何かあったら協力しますよ!」その言葉が、心強く、私の背中をそっと押してくれました。
特に疑問の声や戸惑う様子はなく、むしろ「若いし、入社して5年で業務もほぼ覚えたし、適任でしょう!」と、私の可能性を信じてくれる先輩の言葉に、どれほど励まされたことか分かりません。
さらに、他部署には生成AIやRPAに詳しい人がいるという情報を聞き、思い切って相談に行ってみました。「こんなことがやりたいんです!」と私の理想を伝えたところ、「それなら、少しやり方を変えてExcelのマクロとRPAを組み合わせるとできますよ」と、目から鱗が落ちるようなアドバイスをいただけたのです。効率化ツールの組み合わせという、自分には全くなかった発想。この出会いが、私にとって大きな転機となりました。
畑違いだからこそ見える景色 – 私のDXストーリーは始まったばかり
経験がないにも関わらずDX担当に選ばれた経験を通して、私は新しい分野に飛び込むことの意義を改めて感じています。生成AIのおかげで、昔は書籍やまとめサイトの断片的な知識を繋ぎ合わせて試行錯誤するしかなかったことが、今では高速でPDCAサイクルを回せるようになり、格段に精度が向上しました。
生成AIが理解しやすいように質問を投げかける方法、そしてExcel、RPAツールなど、それぞれのツールの得意分野を知ることで、それらを組み合わせた時の可能性は無限に広がると感じています。その可能性が、今はただただ楽しいのです。
自部署の業務効率化は着実に進みました。どんなことをしたのか今後少しずつ綴りたいと思います。
「知識がない」ことは、確かにハンデかもしれません。しかし、それを言い訳にせず、積極的に学び、行動することで、新しい景色が見えてきました。
同じように未経験の分野に飛び込むことに不安を感じている誰かにとって、少しでも勇気を与える存在になれたら、と思っています。
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